俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
このご時世、のんびりお酒を飲めるのは貴族や王族だけとなってしまった。しかも俺たちの聞いたこともない高級なお酒ばかり。

物価が上がったことで、当然お酒の値段も上がった。それにより、真面目に働いて生活をしている人は酒場に行けなくなった。行けるのは、盗みなどで金品を手に入れた悪人たちだけだ。

しかし、酒場で出されるお酒も限りがあるため、噂では酒と水を混ぜたものが出されているらしい。そのため酒場のお酒はとても薄くまずいと不評だ。それでも悪人が盗みを犯してまで飲もうとするのは、お酒がそこでしか飲むことができないからだろう。

貴族や王族が軍事的なことだけでなく、国民に対してもお金をもっと使ってくれたら、俺の貴族たちに対する考えも変わっていたかもしれない。

ああ、俺が最後にお酒を飲んだのはいつだっただろうか。たしか、年が明けた日に同僚たちと集まった時だ。一人が酒を偶然手に入れて、みんなで乾杯した。あの時のビールの味は今でも忘れていない。

「とにかく、この屋敷には入りません!」
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