俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」

俺は目の前に立つ男性を睨みつけた。まあ、普通に真っ直ぐ見つめただけでも、睨んでいると思われるかもしれないが……。

「……君は、貴族や王族が嫌いか？」

そう訊ねられ、どう答えていいのか迷う。いいえと答えたところで、俺の今までの行動で嘘だとすぐにばれるだろう。

「まあいい。貴族や王族をよく思っていないのは、お前だけではない。国民は皆、今の我々に対して不満を抱いている。それを口に出さないだけだ」

男性はそう言い、俺に背を向けると屋敷の扉を開けた。扉の向こうには、長い廊下と豪華なシャンデリアが見え、使用人が何人も出てきて出迎えをした。

「……少しで構わない。この世界に関わる重要な話なんだ」

男性が俺を見つめる。その目は真っ直ぐで、決して俺をからかったりしている目ではなかった。

俺は何も言わず、屋敷の中に吸い込まれるように入っていった。



様々な見たことのない骨董品や美術品が並べられた廊下を歩き、俺は広々とした客間に案内された。

「すぐにお茶をお持ちします。茶葉は何がよろしいでしょうか？」

若いきれいなメイドが男性に訊ねると、男性はメイドに何かを告げる。その会話は小声だったので何を言っているかはわからなかった。