俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
客間には柔らかそうなソファや椅子が置かれ、立派な暖炉には赤々と炎が燃え、部屋を暖めている。ソファにゆったりと腰掛け、くつろいでいるこの男性が、金持ちのフリをして着飾ったりする偽物などではないことが何も聞かなくてもわかった。

「そこに座りたまえ。やはり家は落ち着く……。戦争中であるということが嘘のようだ」

「……それはあなたが貴族だからでしょう?民はこんな立派な暖炉や椅子はない。ボロボロのふとんにくるまって寒さをしのぐ家もあります」

俺も今は何とか食べていけているが、いつ食べるという当たり前のことができなくなるかわからない。今日食べるものに困っている家もある。そんな人たちは、自然と思い知らされる。今が平和ではないということに……。

「すまない。決して嫌味で言ったわけではないんだ……。それより、立っていないで座ったらどうだ?」

「いいえ、座りません。多くの民がこんな暖かい場所にいられないのです。座るわけにはいきません」

俺がそう言うと、男性は最初は何か言いたげな顔だったが、諦めたようにため息をつく。

「わかった。好きなようにするがいい。では、話を始めよう」
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