俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「リリー、どうした?大丈夫か?」

「リリー、おい!どうしちゃったんだよ!」

俺とアレックスが声をかけると、リリーは「ちょっと風に当たってくる」と言い、会場をふらふらと出て行った。

今にも倒れてしまいそうな表情や動作に心配になり、あとを追いかけようとすると、「それでは、モーリス・ベルベット様のご挨拶です!」と司会者が言い会場が薄暗くなる。今まで流れていたワルツもピタリと止んだ。

ベルベット卿の挨拶が終わった後、俺が何か話すことになっていた。なので、リリーを追いかけることはできない。

「アレックス、すまんがリリーの様子を見に行ってくれ。心配だ」

「わかった」

アレックスはチキンを二本手にしたまま、会場を出て行った。

ベルベット卿は一つ咳払いをして、話を始める。

「紳士淑女の皆様、ようこそ我が屋敷へ。今回、皆様と出会えたことを心から誇りに思います。さて、今回のパーティーはいつもと少し違います。それは庶民がこの場にいるということです……」

ベルベット卿が意地悪な表情で、俺を見つめた。そして話を続ける。
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