俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
あの無理やり議長にさせられた日から早数日。俺は窮屈なスーツを着て、慣れない会議室で資料と向き合っていた。
世界平和対策本部の最初の会議は、ドリス国で行われることになった。議長として一番に来たのはいいが、会議の時間までまだ時間がたっぷりあるので、議長しか見ることのできない資料を見つめていた。
その資料は各国の代表の人物のことが詳しく書かれたものだ。家族構成から持っている持病、仕事や趣味など様々なことが書かれている。
このご時世もあり、俺はこの年になるまで外国人と会ったことも話したこともない。というより、他国については軍事的なことしか知らない。こんな議長で世界平和について話せるのか?
コンコン、と突然ドアがノックされる。
まだ会議が始まる時間ではない。
「……失礼します」
女性の声がして、ドアがゆっくりと開く。ドアの向こうにいたのは、身長が百四十センチほどのとても小柄な女性だった。黒い髪に黒い目。誰が見ても外国人だとわかる。