俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
服はドリス国では見たことのないものだ。長い布を体に巻きつけて着ている。しかし、とても美しい。

「桜花国代表の一ノ宮小町(いちのみやこまち)と申します。旅館で中居として働いております」

少し緊張した様子で小町は頭を下げる。その仕草も美しく、俺はじっと目の前の女性を見つめた。

「君は……本当に十九歳なのか?そのようにはとても見えないのだが……」

仕草だけを見ていると俺よりも年上のように見える。しかし、部屋に小町が入ってきた時、俺は十四歳ほどの子どもが入ってきたと思ってしまった。童顔というものだろう。

「この国に来た時も、同じことを言われました。幼く見えてしまうのでしょうか……」

小町は少しうつむく。俺は慌てて謝った。

「い、いや、そういうつもりで言ったわけではないんだ!すまない!」

「いえ、大丈夫です」

小町はそう言い微笑む。そして自分の席に座った。

世界平和対策本部のことが新聞に大きく取り上げられると、街は大騒ぎになった。しかし、それは決して悪い意味ではない。みんな平和な世界に近づいていくと信じ、喜んでいるのだ。

この対策本部では、歳も職業もみんな違う。そのため、どれだけ歳が離れていてもここではみんな同僚だ。小町が同僚なことに俺は少し安心した。
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