俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
やはり同僚になるからには、真面目な人がいい。世界平和対策本部の参加国は多いため、すべての人が真面目とは限らないが……。

俺は小町の資料に目を通す。旅館というのはホテルのような場所らしい。小町が着ているのは着物という桜花国の民族衣装らしい。

桜花国といえば、東にある強国だ。近隣に多くの植民地を持つ。

桜花国もドリス国のように真面目な人が多いようだ。しかもこんなご時世だというのに、治安が良いらしい。桜花国の警察は仕事が楽だろう。……羨ましい。

コンコン、とドアがノックされる。次々と参加国が入ってきた。

「こ、こんにちは……」

「初めまして!」

「失礼します」

会議が始まる直前までに、全ての国が揃った……ように見えた。

「それでは会議を始めーーー」

会議を始めようと立ち上がると、小町が「待ってください」と手をあげる。

「何だ?」

「まだタンバリー国の方が……」

小町の隣の席が空いている。

タンバリー国といえば、多くの強国に攻められ強国の植民地にされている国だ。国王や王妃、その子どもたちは同盟国に亡命した。しかし、王女が行方不明らしい。

タンバリー国の代表は誰かと資料を見た刹那、俺の心に嫌悪感が走った。タンバリー国の代表は、俺の嫌いな貴族だ。
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