俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」

スープを飲んでいる俺のそばにベルが近づき、じっと俺を見つめる。

「わかった、わかった」

じっと見つめられ苦笑しながら、俺はパンをちぎってベルの口もとへ持っていく。パンは一瞬で俺の手から消えた。

「…うまかったか？」

そう訊ねると、「ワン！」と嬉しそうにベルは尻尾を振った。

食べ終わった食器を洗い、掃除や洗濯を済ませる。いつもと変わらない。

時計を見ると、針は八時半を指していた。もう仕事に行かなければならない。

「行ってくる」

ベルの頭を撫で、俺は家を出た。

空はどんよりとした雲に覆われ、三月だというのに肌寒い。まあドリス国は北寄りなので寒いのだが。この国に春が訪れるのはずっと先の話だろう。そんなことを考えながら、俺は職場へと急いだ。



同じ頃、ある部屋では会議が行われていた。会議と言っても、三人の人物が深刻そうな顔で話しているだけだ。議長も議題もない。

会議室の窓は朝だというのにカーテンが閉められている。そして電気もつけていないため、会議室の中は薄暗い。