俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
苦労をきっとたくさんしているんだな…。俺は、馬車の外を流れる景色を見てはしゃいでいるリリーを見つめ、「お前ももっと世間を学べ」と頭に手を置いた。

ジャックの叔父の家は、俺が世界平和対策本部の議長になる前に訪れた貴族の家のようだ。立派な門をくぐり、馬車は立派な屋敷の前で止まる。

「……す、すごいな」

正直、入りたいとは思わない。しかしせっかく招いてくれたのだ。失礼のないように振る舞うことにした。

「屋敷を案内します」

ジャックはそう言って、俺たちを屋敷の中へと入れた。

屋敷は二階建てだが、部屋の数がとても多い。しかしどの部屋にも鋭いナイフや銃など、様々な武器が飾られていた。その数はとても多く、俺は言葉を失う。どうやら、全て本物のようだ。

前に訪れた貴族の屋敷とは、全く違っている。

「この武器は何?」

イワンが訊ねると、ジャックは微笑み、「叔父が戦場から持ち帰ったものです。全て、叔父のコレクションなんです」と言った。
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