俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
リリーは貴族だ。この国で何か事件に巻き込まれたらまた争いが起こる可能性の方が高い。

「リリー、今すぐその服を着替えろ」

「ええ!?何で?すっごくオシャレしたのに?」

驚くリリーに俺はため息をつきながら、説明をした。

「お前の今の格好は、外国人だとすぐにバレる。この国の一般人と同じ格好をしろ!」

「えっ!?変装ってこと!?」

リリーは目を輝かせながら、交番を飛び出して行った。

「一般人の格好をしたがるって……あの人、ほんとに貴族なのか……?」

俺が心の中で呟いたことと同じことを、レムが呟いた。

俺の頭の中に、前回の会議の記憶が流れた。



会議はいつも通り、俺の怒号が響くものだった。

机に突っ伏して眠る者、アルコールの類を飲む者、ゲーム機で遊ぶ者、賭け事に興じる者ーーー。

問題児たちのこの行動はもう慣れた。しかし、毎度怒鳴るこっちの身にもなってほしい。

「やめんか!会議は真面目にやれ!!」

何度目かの怒号で、ようやく会議室に静寂が戻る。その静寂を取り戻して最初に口を開いたのは、何とリリーだった。
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