俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「ありがとう!私、生まれて初めてズボンを履いたんだ!」

嬉しそうに笑うリリーに、「初めて?」と俺とレムは首を傾げる。

「その…私の家、女の人がズボンを履いちゃダメだから……」

貴族の家ならおかしくはない。レムは「そうなんだぁ」と言った。

その後は、三人で散らかった交番の中を片付けた。リリーは生まれて初めての片付けらしい。

「片付けって大変なんだね!でも、楽しい!」

資料を棚に戻しながらリリーが言った。

「それが一般人の当たり前なんだ」

俺がそう言うと、「そうなんだ」とリリーは少し寂しげにうつむいた。

「リリー?」

何か俺は言ってしまったのか?不安になり、俺は声をかける。リリーがこんな顔を見せることは、本当に滅多にない。

「ん?どうしたの?」

そう言って顔を上げたリリーは、いつも通りの明るい顔だ。リリーが暗い顔をするのは一瞬だ。その一瞬を見るたびに、リリーが消えてしまうような気がして声をかけてしまう。……俺はおかしいのだろうか?
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