俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
夕暮れの街を歩いているのは、珍しく二人だった。夜になれば、まだまだ治安が不安だからだろう。

俺たちは市場へと向かった。



はしゃぐリリーを連れて買い物を済ませ、家のドアを開けると、ベルが出迎えてくれた。俺を見つめ、この人は誰?と言いたげな表情でリリーを見る。

「こいつはリリー・オクト。俺の同僚だ」

「よろしくね!」

ベルの頭をリリーが優しく撫でる。

「俺は夕食の準備をする。お前はそこでベルと遊んでろ」

そう言いキッチンへと向かう俺の腕を、リリーが「待って!」と掴んだ。

「……何だ?」

嫌な予感がした。

「私もやりたい!初めての料理!」

……嫌な予感は見事に当たった。嫌なことほど予感が当たる。そんな自分の能力を何とかしたくなる。

「だめだ!お前に任せるわけにはいかん!!」

「どうして?」

リリーは頰を膨らませる。仕草だけを見れば子供だ。

「お前が怪我をしたら面倒だからだ!」

「怪我しないように頑張るから〜」

しばらく言い合いをして、結局リリーも夕食の準備を手伝うこととなった。
< 79 / 179 >

この作品をシェア

pagetop