俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
「リーバス!助けて〜!ニンジンが上手に切れないよ!!まな板の上を逃げちゃう!」

すぐに横からSOSが飛んできて、俺は苦笑した。予想通りだ。

「こうするんだ」

もう一度、手本を見せる。リリーは珍しく真剣な顔を見せた。それでも楽しそうにしているので、安心する。

リリーが切ったニンジンは、お世辞にも上手とは言えないものだった。五歳の子供が切った方が上手いかもしれない。でも、頑張ってくれたのだから良しとしよう。

「できた!包丁も持ったの初めて!」

リリーは嬉しそうに笑う。

「……ジャガイモも切ってくれるか?」

貴族なのに料理を手伝いたがり、嬉しそうにするなんてやはりリリーは貴族らしくない。だからこそ、世界平和対策本部のタンバリー国代表に選ばれたのかもしれないが……。

夕食は黒パンと、ニンジンとジャガイモとトマトのスープ、プレーンオムレツという貴族のリリーには全く馴染みのないものになってしまった。しかし、リリーは「おいしそう!」と笑う。
< 81 / 179 >

この作品をシェア

pagetop