俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
レムが俺の胸を人差し指でつついた。

「この防弾チョッキ!警戒してるって感じがして、話しかけづらい。威圧感がありすぎ!」

「このご時世だぞ!!着ないお前の方がおかしいんだ!」

俺は呆れてしまった。

敵国のスパイが一般人を装って交番にやって来て、殺されてしまうかもしれないご時世だ。いくらお巡りさんとはいえ警察であることに変わりはない。俺はパトロールに行く時も、交番の中にいるときも防弾チョッキを外さないが、レムは外に出る時すら防弾チョッキを着ない。

「お前さあ、この戦争が正しいとか思ってるわけ?」

呆れた顔をする俺に、レムは珍しく真面目な表情を見せる。

「百年も戦争を続けて正直、ばからしいと思うんだ。だって百年前っつったら俺もお前も生まれてないんだぜ。いい加減に平和になってもいいと思うんだがな〜」

そう言ってレムは椅子に座ってデスクワークを始めた。口調はふざけているように見えるが、彼は意外と真面目だ。この国には、真面目で勤勉な人が多い。
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