俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」
俺が訊ねると、リリーは「ないしょ!」と言いいたずらっ子のように笑う。

「かわいい……」と俺の隣でレムが呟いたので、その足を思い切り踏んでやった。

「……ッ!」

レムが必死になって痛みに耐えている隙に、「店をしているのか?」とリリーに訊いた。

「お店じゃないよ!ステージで発表するんだ!」

リリーがそう言って笑う。

周りを見渡せば、国も種族も超えてみんなが笑っている。幸せに満ちている。それだけでなぜかこちらも幸せになる。

「な?平和の方がいいだろ?」

レムが俺の肩に手を置き言う。俺は静かに頷いた。たしかに、こっちの方がずっといい。

しかし、そんな笑顔の中から焦ったような表情の男性が飛び出してきた。リリーの姿を見つけると男性はリリーの腕を掴み、どこかへ連れて行こうとした。とっさに体が動く。

「貴様、何者だ?」

男性の腕を掴み、ひねる。どさくさに紛れて貴族を誘拐にでもしに来た誘拐犯か?
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