君は僕に何を見る?

「……大学、友達できるかな」

そう思った去年の春。一年前の丁度今頃。

私は一人暮らしのこの部屋で、ぼそりと呟いた。

明日は初授業。人とコミュニケーションを取るチャンス。


「大丈夫だよ、出来る。俺がそう言ってるんだから大丈夫!」

「お兄ちゃん……」


そう言って励ましてくれたのは、兄の悠だ。

不安になっているだろうと、遊びに来てくれた。


「でもお兄ちゃん、私と全然性格違うから」

「違うって言ったって、血は繋がってるだろ?ここぞという時に出来る子だ、蒼良は」

「ううん……」


その言葉に私は唸る。

いつもそうだ。

お兄ちゃんはとても優しいけれど、若干プレッシャーを与える。

しかも無意識だから仕方ない。

良い人なのは分かってるし、なんだかんだでそんなお兄ちゃんが私は大好きだ。

そして私はチョロいから、お兄ちゃんのその言葉に安心してしまう所もある。

そこを分かって言っているのだろうけれど。
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