天使と悪魔の駆け引き
モテモテ転校生
休み時間
「龍玖くんっ♪」
「よろしくねえ!」
「ちょっと!ブス野原どきなさいよっ!」
「そうよ、ブス野原っ」
「キモいんだよ。」
「龍玖くん、こいつには関わらない方がいいよ?」
こ、こいつらムカつく。
「あんたらねえ、私より性格ブスなくせに、なにほざいてんの!」
ガンッ
机を蹴っ飛ばしてにらんだ。
女子の一人が、私に手をあげようとした時だった。
「やめろ。」
龍玖ではなく、
クラスの男子の
拓也
だった。
「拓也。」
私が思わず名前を呼ぶ。
拓也は笑っていった。
「大丈夫?」
「うん…。」
私はずっと前から拓也に気になっていた。
優しいし、私がイジメられててもあえて何も言わないしカッコいいし。
「拓也っ!なんで?!」
そうそう。
イジメのリーダーも拓也の事が好きって噂あったなあ。
「暴力とかイジメって、見てて…かなりダサいよ。」
グッと唇を噛みしめたリーダーだったが、私を睨みつけてこう言った。
「ムカつくのよ、あんた」
「どうぞ。好きなだけムカついて下さいな。」
私は言い返して、拓也を見た。
拓也は、笑ってた。
「美紅は強いな!」
ふいに言われる。
私は紅潮する。
顔が熱い――…。
そんな美紅を横でずっと見ている龍玖に私は気付かなかった。