ルクスのあしあと。
「どうかしたの?」
急にかけられた声に体がビクリと反応してしまった。
どこかに行くあてなんか全くなくて。
おじいちゃんが死んで一人になってしまった私には他に行く場所なんかなくて。
でもおじいちゃんから自分が死んだらすぐに家から出て行く事を約束させられていて・・・
あてもなくフラフラして。
どうしよう、って迷ってたら声をかけられた。
「どこかに行くの?危ないよ。こんな夜中に。何か分からないのがある?電車の時間?それかタクシー呼ぼうか?」
私が大きな鞄と電車の時刻表を持っていた為かそう聞かれた。
いい人そう。
優しいな・・・
ただそう思った。
いつもいつもこれで失敗する。
違う。
失敗なんかじゃない。
私が悪いんだ。
一緒にいちゃ駄目なのに。
寂しいから相手の優しさに流されて・・・
近づいてきた人の精神(ココロ)を狂わせてしまう。
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