後輩営業は虎視眈々と先輩アシスタントを狙っている
「君は、いつもイケメンでいいわね」

「・・・どういう意味ですか?」

眉間に少しだけしわををよせた、向かいの席の田村君と目が合った。

「そんな顔だから、浮気したことはあっても、されたことはないでしょ?そういう意味。」

「・・・浮気されたんですか?」


へ?やばい、やばい。

余計なこと口走っちゃった!

彼氏が社内の人ってみんな知ってるんだから、滅多な事を言ってはいけない!


「ち、違うよ!! ただ、君がイケメンだって言いたかっただけ。ほら、部内を見てごらんよ。残業タイムなんてヨレヨレのクタクタの干物みたいになってる人ばかりでしょ。だから、その爽やかなイケメンがさらに際立って見えるってこと。」


首が取れるほどの勢いで横に振り、言い訳をダラダラと捲くし立てる。

人って嘘つくときは、ホント余計な事を言うよね。



「じゃあ、そんな僕と飲みに行きませんか?ヨレヨレ・クタクタの美香さんにおごってあげますよ。」


「え?・・・でも、あと2時間位は最低かかるよ。」


「僕も出張の報告書とか仕上げたいから一緒ですよ。」


誘われて悪い気がしないのは、早くも営業部エースに分類されている仕事のできる後輩だから?

顔でも社内の注目を集める後輩は合コン依頼が絶えない。

同期に無理やり連行されて行くのを、たまに見る。


「・・・じゃあ、行っちゃう?」

「ええ、そうしましょう。そうと決まれば、早く行けるようにスピードアップでお願いしますよ。」


うん!いい感じ!やる気が復活してきた。

私は何も見ていないぞー!幻覚、幻覚・・・。

よーし、パーと飲むぞ!

憂さ晴らしだ!

明日は休みだ!

酔ってやる!





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