後輩営業は虎視眈々と先輩アシスタントを狙っている
自分のバッグからスマホを取り出し、慣れた番号をタップする。

他人の玄関先ですることじゃないことはわかっている。

でも、今しないと一歩も進んじゃいけない気がする、人として、女として。


繋がった電話の先でとっても面倒な声が聞こえたきた。

『・・・もしもし?』

『私だけど・・・。』

『ああ・・・。』

不機嫌な彼氏の声。

『そばにいるんでしょ?美玲ちゃん・・・。』

『え?!なんで知ってる・・・!いや、違うっ!』

焦っているのがまるわかり。

できる男じゃなかったの?

『美玲ちゃんから、2人で飲んでる、て写真がきたの。まあ、2人で行くの知ってたし・・・。』

『写真?いつ!?』

私たちが一軒目を出る頃、田村君がお会計してくれている時にスマホをチェックすれば、2人の飲んでいる様子の写真と一緒に『先輩がほったらかしにしているから悪いんですよ。誘われたら断りませんからね。』と・・・。

『・・・私と付き合っているままだと、また浮気になるよね?私が知ってるところで4人目だし。・・・だから、開放してあげる。長い間ありがとう。・・・さようなら。』

『え?なに?どういう・・・。』

何か話を続けていたけど、無駄な時間は1秒でも使いたくないなあ、あんなヤツのためになんか。




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