後輩営業は虎視眈々と先輩アシスタントを狙っている
スマホの電源を切ってバッグに入れる。

それまで何も言わずに側に立っていた田村君。

お互いの目が合えば、小首を傾げて口元をほころばせる。

か、かわいい!!

「田村君・・・おまたせしました。」

私もあなたの為だけに微笑む。

「では、改めて・・・ぼくと結婚を前提に付き合ってください。」

「はい・・・え?結婚を前提?」

一瞬のうちに”結婚”という言葉に気付く。

それは、あなたにとって軽率な発言だと思うのですが・・・。

そこは私に合わせなくていいんだよ。

私もゆっくり考えて行く事にするから。

そう伝えようと口を開いたら・・・。

「それから、名前で呼んでくれますか?二人のときは、下の名前でお願いします。」

えーと、下の名前は確か・・・。

「直隆(なおたか)・・・くん?えーと、二人の時は、そう呼びます。」

なんだか呼ぶ私が照れるな。

「ぼくの名前、忘れてた?・・・できるなら、くん付けは取りやめの方向で。」

ちょっとだけ頬を赤くしながら、苦笑する直隆くん。

う~ん、確かに私も呼びづらいかも。

「でも、呼び捨ては、いかにも・・・。」

「年下って感じがする?」

「!?」

ズバッと言われちゃった。

・・・はい、その通りです。

心の中でお返事。




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