後輩営業は虎視眈々と先輩アシスタントを狙っている
それでも、きっと不安げな顔してるたんだろうな、私。

だって、田村君の表情が変わって、ちょっとだけ眉毛が少し下がったから。


「すみません。美香さんの人生設計を崩してしまうのは申し訳ないと思っています。でも、その計画よりもっともっと、幸せに感じられるように僕は約束します。なにより、僕は美香さんがいれば絶対幸せです。あなたにもそれが伝わるはずです。だから、あなた自身が僕を選んで。」


そっと、腰から手を離した。

ぬくもりがなくなったことに寂しさを感じたのは自分でも意外。

言葉は謝っているけど、内容はすまないとはこれっぽちも思っていない気がする。

ここまで導いてくれたのは田村君だ。

そして、まだ引き返せる逃げ道を作ってくれている。

でも、そうやって、押して引いて、タイミング見て押す・・・営業技だよね。

そのタイミング絶妙だと課長は褒めていた事を頭の片隅で思い出す。



彼氏への不安を見ない振りして、付き合いを続けている私は、未来不幸度70~80%はいってる。

イヤ、90%以上・・・。

自分の年齢の結婚のタイムリミットを思うと別れることに抵抗を感じる。

将来、破綻するきっかけを作るであろう、彼氏の女性に対しての考え方。

今は目をつぶって、私が我慢すれば・・・。

結婚すればきっと彼氏も落ち着くはず。

そう思い込もうとがんばる私は、健気? それとも、馬鹿?



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