優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
プロローグ
『だって俺たちはちっぽけで、自分たちの言葉の責任も親が口出しして、本当に届けたい言葉は届かないじゃないか。俺の視線に顔を上げて欲しいって、そんなに我儘なのか分からないけど、時間がないんだ。俺たちはいつも大人に時間を左右されてしまう。だから時間がない。いつまでも青空は空に映されないだろ。時間が止まるのは、漫画の中だけ。俺は今もこうして、無駄に時間を費やしてる。顔を上げてよ、俺があんたを見てる。伝えたいことがあるんだ。液晶越しでもいいから』
胸を締め付けられる恋だった。大人はちっぽけだと笑う恋だった。
時間が経ったら、子どもっぽいと笑われてしまう恋だった。
その瞬間は、私たちは真剣で、私たちは悩んでいて、私たちは永遠の別れのように辛い選択だったのに。
大人は笑うんだ。『子供の視野は狭くて、いいね』と。
大人になって笑っていいのは、悩みぬいた私と彼だけなのに。
そんな風に馬鹿にされてしまうような、悩み。
私と彼の、小さな世界での悩みだと否定される、小さな恋。
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