優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。

同じクラスだけど、授業中に『成長痛で痛くて寝れねえ』と寝ぼけて叫んで、先生に頭を教科書で叩かれていた人だ。いつも騒がしいし目立つ人だからちょっと苦手な人。


手に持っているシャツが、蛍光ピンクで英字で『タイムイズマネー』と書かれていたのはちょっと面白いけど。


「っち。あーあ、まじない。俺みたいに散々テストわるかった奴が今更服装検査で引っかかって何? 底辺評価がこれ以上悪くなるかよ」

「その態度が変わらないうちは、スコップで評価を掘り下げていくぞ」
「まじかよ」

 先生の言葉に急に大人しくなった。

「優大聞いてよ。私の爪、長くなくない?」
「あ? 爪なら今すぐ噛め。ってか長くねえじゃん」

そして紗矢の隣に行くと、二人で耳元で何か話し出して笑っている。

反省とか萎縮って言葉をあの二人は知らないと思う。
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