優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
ぼ本当に顔から、ぼっと燃え上がる音が飛び出してきそうなほど、一瞬で沸騰してしまった。は、反則だ。そんな可愛い顔で言うのは駄目だ。
ドキドキ、する。激しい動悸、眩暈、息切れ。なんてことだ。恋って風邪と同じ症状だ。
「俺、彼氏のつもりだけど」
「……う」
「キスを強請っておいて恋人にならないとは、悪い女だな、蕾は」
繋がっていない手で、デコピンされた。
心なしか、優大君の尻尾と耳が項垂れているように見える。見えてしまう。
うー……。
「こ、こんな私でいいですか? 可愛くない、し。自慢できるような、恋人にはなれないと思うのですが」
「なんで? 可愛いし、蕾は心も綺麗で守ってやりたいし、それに蕾の一番になりたい。誰にも渡したくない」
可愛いところなんてないと思う。
でも下を向いていた私を、覗き込むように見つけてくれた優大くんが、私も。
「私も、好きです」
君のことが大好きですと、伝えたくなった。
「やべえ。もう一回言って。携帯に録音していい?」
「ひい。駄目。駄目!」
「うっひょーっ」
その後、彼が赤信号を渡ろうとしたので、しっかり手を繋いで信号がない場所まで一緒に帰った。