優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
手を離した瞬間、切なくなった。
振り返るとまだ手を降っている彼を見て、胸が苦しくなった。
ああ。臆病になっていた私が、初めて感じるこの感情は、――恋だ。
今すぐ走り出したい衝動。ベットの上で転げまわりたい衝動。
自覚したら急落下。本当に優大くんのことばかり頭の中に浮かんでくる。
これが恋。それで、私は今日、受験生の身分でありながら彼の恋人になってしまったんだ。
叫びたいぐらい恥ずかしいその言葉に、私は頬をつねる。
転校、しませんように。もっと、もっともっと一緒にいさせてほしい。
夏が始まり、生ぬるい風が髪をさらっていく。 私の頬は、冷えてくれない。