優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「まあねえ」
 履くズボンみたいな、可愛くない水着は確かに恥ずかしい。濡れると上にせり上がってくるしスタイルが良くないから、そう思ってしまう。
「そういえば夏に先生が、美術館に行くって言ってましたが部長も来ますよね?」
「部長じゃないし、受験生だから参加していいのかな」

 もちろん、行けるなら行きたい。美術館ってお洒落で大人な雰囲気だから、一人で行くのは難しい。でも誘う友達なんていない。

「これ、パンフレットです」

 百合ちゃんがくれたのはひまわり畑の写真みたいなイラストが描かれたパンフレット。
色んな芸術家のひまわりが展示されるらしい。夏を感じれるそのテーマは興味をそそられる。

「部長なら優秀だからきっと行っても誰も怒らないですよ」

優秀だから。その言葉が偶に攻撃的に聞こえるから私の守備は低下している。
「考えておくね」
朱に交わりたいのに、優秀と言われるとざわめく。優秀のふりは疲れるから、言われるたびにダメージが大きいのかもしれない。
「津田いるー?」
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