優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。

先生も目頭を押さえていた。

「やべえ、本当、遅れるからいくわ」
「ゆーうーだーいー」

 皆が優大くんに抱き着いたまま離れないので、ずるずる引きずりながら教室を出ようとする。
 それでも結局、泣いて、笑って、転んで、そして笑って。
 私と優大くんは待ち合わせの時間ギリギリになったのは言うまでもない。






待ち合わせギリギリに走って駅に向かうと、駅には、麦わら帽子をかぶった百合ちゃんと飯島先生が自動販売機の前でジュースを飲みながら待っていた。

明日から夏休みだということもあって、駅前は学生が多い。

むわっとする夏の気温に、急いできて汗ばんでいる私たちの肌は服にぺたりと貼りついて不快指数が上がってしまう。


「もし遅刻したら置いていく予定だったのよ。はい」
「ありがとうございます」
「やった」

 飯島先生は私たちにチケットを配ってくれると、そのまま電車の改札口へ向かう。
 そういえば電車でどこか行くって、実は学校の遠足以来だったりする。
 普段は親の車か、自転車だ。
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