優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「部長、ワンピースで行こうって約束、守っていただけて嬉しいです」
麦わら帽子に、サクランボ柄のワンピースを着こなす百合ちゃんは、学校の時よりも大人っぽく笑う。
花柄のサンダルから見える足の爪は、ピンク色に綺麗にネイルされていた。
私は紗矢ちゃんがお団子にしてくれたので、いつもの三つ編みスタイルではなく、お母さんに頼んで買ったひまわり模様のワンピースに黄色の花で飾られたサンダル。
ワンピースなんて、ましてや花柄なんて似合わないって思っていたんだけど、優大くんが嬉しそうなので着てよかった。
「かわいいわ、やべえわ、写メいい?」と真っ赤な顔で写真を撮ろうとしたので逃げ回ったのも、遅刻ギリギリの原因の一つかもしれない。
電車は一時間に四本あるらしく、私たちが乗った電車はお昼だけど空いていた。
並んで優大くん、私、百合ちゃん、先生で座って、パンフレットを眺めた。
「ふうん。ひまわり展ねえ。有名な画家の絵があんの?」
「ひまわりと言えば、ゴッホだよ。目玉はゴッホのひまわりの複製原画数点と本物の絵が飾られてるって」
「へー、ゴッホゴホゴホって咳みたいな名前」
優大くんには悪気はなかったのだけど、絵画が大好きな飯島先生に怒られて、パンフレットの説明を、降りる駅に到着するまで延々と聞かされていた。