優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。

 途中で私の手を握ってきたので、恥ずかしいけれど私も握り返した。


 揺れる電車の中、ひまわりのパンフレットを眺めつつ、外の風景にも目をやる。
 隣の市の、うちの工場より大きくて最先端技術を駆使している、立派な工場。

 その工場を探す。できれば、夜空に届くぐらい大きくしてくれたら、隣の市の私でも見えるのに。私の視界にも見せてほしい。


 先生の説明のおかげでうとうとしていたら、あっという間に隣の市に到着していた。
 工場は遠くの山に煙突が四つ見えた。駅から更に工場は遠い。

 この町で、明日から優大くんは新しい生活をスタートさせるんだ。

「こっちよ。貴方たちは学生証を見せたら、無料だから」

 駅から出て隣の市民ホールに誘導される。市が開設した公共施設とオフィスビルの複合施設らしい。大きなホールはピアノの発表会やクラッシクコンサートが開催され、もう一回り小さなホールは、会社の研修や小学校の音楽祭で使うらしい。

 私たちが見に行く二階フロアのひまわり展は、その施設の中にあ日っている企業が提供しているらしい。
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