優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


ひまわり展は、その企業が世界中から買い取ったひまわりの絵画38点が飾られている。

普段は本社の一階に展示されている、複製原画ではなく原画のひまわりは、今にも飛び出しそうな風に揺らめている大輪のひまわりだった。

 優大くんは「俺がしゃべったら、手を抓ってほしい」と念を押して私と手を繋いで歩き出した。

 未だに一緒に帰るときに手を繋ぐのに、真っ赤になる。耳まで真っ赤になって少し視線を逸らす優大くんは、嘘を付けない真っすぐな人だ。

 油絵、水彩画、デジタル画、写真、水墨画のひまわりもあった。
 いろんな世界に咲いているひまわり畑の中を、優大くんと二人、歩いている気分になった。
 世界で二人だけ。
 二人だけで、花畑の真ん中で手を繋いで、ひまわりと一緒に風に吹かれて太陽を見上げて、寒い夜は身を寄せ合って、そんな細やかな願いを夢見ていた。
 ひまわり展の奥では、日本の画家の個展が開催されていて、先生と百合ちゃんはその個展を見に行ったので、私と優大くんはショップに向かう。
 私も個展は気になっていたけど、息をするのも我慢している優大くんの限界を考えてそちらを選んだ。
< 161 / 197 >

この作品をシェア

pagetop