優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


 ショップは、ひまわりの絵のポストカードが沢山売っていて、どれか一つ買おうと、両手に持って悩んだ。

「お、このひまわり畑、工場が見えるじゃん」

 ひまわりのポストカードの上に飾られていたひまわり畑の写真を、何気なく手に取った。
 ショップの店員さんは、優しそうな年配の女性で、他のお客さんのポストカードを封筒に入れて渡しながら、教えてくれた。

「そうよ。秋はコスモス畑、春はチューリップ畑、夏はひまわり畑になるのよ。隣の市の、植物公園の奥なんだけど、時間があるときにデートでもしてみたらどうかな」

「で、-と……っ」

 その言葉に恥ずかしくなって、ポストカード10枚セットを買ってそそくさと逃げてしまった。

優大くんは、そのひまわり畑の場所を熱心に聞いていたけど、私は自分の心臓の音を整えるだけで精いっぱいだった。

「つぼみ、さっき買ったポストカード交換しねえ?」

 戻ってきた優大くんの手にも10枚セットのポストカードがある。
「いいけど、でもどうして?」

 私が渡すと、カバンから油性ペンを二つ取り出して、一つを渡した。

「お互いに自分が欲しいって思ったポストカードの方に自分の宛名書いて、送りあおうぜ。つぼみが携帯を買うまで、電話とこの葉書でやりとりしょう」

「……うんっ うん!」
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