優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


 優大くんの明日に、私は隣にいない。

 けど、未来には私の場所を、作ってくれているんだ。

「俺もさあ、夏休みは塾行けって言われてるから、前よりは忙しいかもしれねえけど、連絡は絶対にする」

「私も、塾に行くから携帯を持てるように頼んでみる。そうしたら、一番に優大くんに連絡するね」

お互いに自分の名前を書いたポストカードを渡しながら微笑む。
嗚呼、今日で。

嗚呼、あと数時間で。
貴方と過ごす学校生活が終わってしまうんだ。

百合ちゃんと先生が個展の方から出てきて、先生が予約していたカフェでケーキを御馳走してくれて、帰りの電車は二人で英単語の暗記カードを覗きながら帰った。


空が茜色に染まりだす。
夜が来てしまう。
明日が来てしまう。
大人にならないといけないと決めたのに、優大くんが私の生活から消えてしまう。


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