優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
八、ひまわり畑で子どもの時間。
バスが目的地に到着したときは、閉園30分前。
入場が30分前までだったのでギリギリのギリギリだった。
駆け込んで、なんだか途中笑いながら植物園の奥へと走った。
植物園は中学生まで無料。ひまわり展も無料。映画も子供料金。
貴方たちは子どもなのよって、突きつけられる現実の中、笑いながらひまわり畑に向かった。
「すげー! 俺より背の高いひまわり畑がある」
「こっちは私の腰ぐらいだね」
ひまわり畑と言っても、一面同じ背のひまわりではなく、凸凹していて色も形も少し違った。
ひまわりって名前でも何種類もあるらしい。
「こっちのひまわりは、少し小さ――」
興奮して優大くんの服の裾を引っ張りながら指さしていたけど、彼の顔を見て固まった。
泣き出してしまいそうな、悲しそうな顔。
引っ張っていた腕を引き寄せられて「なんで、そんなに可愛いんだよ」って震える声で言うと、抱きしめられた。
「離れたくないよ」
「……うん」
「一緒に、ここでひまわりになって並ぼうか。仲良く揺れて」
「ぷぷ。キスできないけど、いいですか?」