優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
その日の夢は、やはりひまわり畑の中。
まるで壁のように大きなひまわり畑を走り抜けると、どこまでも続く一面ひまわり畑の中、優大くんが私を待っていてくれた。
夏の匂い。プールの塩素の匂い。美術室の掃除していない埃臭い冷房の匂い。冷房のモーター音。
教室の窓に映るプールの水面。駄菓子屋で食べたかき氷。失敗しながらも書き上げた、小説の表紙。
すべてすべて、ひまわり畑で優大くんが抱えていた。
そんなに抱えたら重たくない?って聞くと、どれも手放せない大事なモノだって言う。
だから私は半分持つよって両手を差し出した。
私の思い出でもあるもの。私にも頂戴って。
ひまわり畑で、思い出を抱きしめながら、これからも頑張ろうって、二人で空を見上げた。
静かに目を覚ますとカーテンから漏れる朝日を、心穏やかに受け止めることができた。
このお別れは、さよならではない。
少しの間、会える距離ではなくなるけれど、でも心までは離れないから。
私の中で納得できる答えが見つかったから、もう怖くない。
寂しさは隠すことはできないけれど。