優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
九、遠距離×受験
『蕾へ
まじで都会やばいわ。家の隣にスーパーと焼肉屋と、マンションの下にコンビニと牛丼屋がある。塾まではチャリで15分。
引っ込み思案な優大くんは、まだ塾の皆とうちとけていません。ボーリングには行ったけど、名前と顔が一致しねえんだもん。
あと、家から駅まで自転車で30分、そっからそっちの駅まで一時間、駅から蕾の家まで40分ぐらいだったかな。
俺たちを阻む時間は、たかが二時間40分だ。映画一本見る暇があるなら会いにけるってことだな。高校は駅の近くの工業にしようかって思ったけど、一時間半なら俺、そっちの普通科を受けようかなって無謀にも思ってる』
あの日を彷彿させるようなひまわり畑のポストカードで葉書が届いたのは、引っ越ししてからまだ三日。
三日で塾の皆とボーリングに行く人のどこが引っ込み思案なのだろう。