優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。

弾むような、明るい声に私も幸せになった。彼も会いたいって思ってくれているから。


次の日曜に、彼は本当にやってきた。
 親には図書館に勉強に行くと言って、優大くんの家に向かった。

「来た。つーぼーみー。やべ、私服、かーわーいー」
「……優大くん」

会いたくて楽しみだったのに、電話の時よりも高いテンションの高さに戸惑う。

「庭でバーベキューしよってことになったんだけど時間大丈夫?」
「う、うん。バーベキュー……」
軍手をした優大くんとおじさんが、大きなお肉の塊を次々網の上に投下していく。
野菜が全くない。お肉とコンビニで買ってきたであろうおにぎりだけ。
それなのに優大くんは美味しいって食べていた。
「この家さあ、古いからぶっ壊してアパートにしようって親父が言ってんだよ」
「へえ……」

 もともとはおばあさんの家だったらしく、古き良き日本家屋って雰囲気だ。二階のベランダはトタン屋根、瓦はところどころ欠けていたりヒビが入っている。
 帰って寝るだけの家だったから気にならなかったと二人は言うけれど、もし優大くんのお母さんかおばあさんが生きていたら、綺麗にしてほしいとは言っていただろう。

「だから、俺は勉強を頑張る! 頑張るぞ!」
「え、あ、うん! 頑張って! 私も頑張る!」
だから、がどこに掛かっている言葉が分からなかったけど、私もガッツポーズしながら頷いた。

分からないけど優大くんが真剣なのはわかって嬉しい。
私も頑張らなくちゃ。
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