優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「ねえ、最近、優大と連絡してないの?」
夏が終わり、山が秋に毛様替えしだして、風が冷たくなったころ。
紗矢が心配そうに聞いてきたので、頷く。
「なんかクラスの皆も、連絡が急に途絶えたってさ」
「そうなんだ」
「受験生だし、やっぱ引っ越し先になれるの大変だろうしね。あいつああ見えて意外と繊細だもんね」
紗矢がフォローしてくれたけど、確かにその通り。
彼はあんなにふわふわした言動なのに、携帯小説で心の中を吐露しないと壊れてしまいそうなほど、敏感な時期だった。
だからなのかな。
連絡がこないのは寂しいのに、傷ついてはいない。
これで終わりになってしまったら、次は私が追いかけてみたいって思う。
プールの揺れる水面の絵が完成できたので、美術部には本当にもう行かなくなった。
百合ちゃんに受験のお守りをもらって、引退した。
彼の家は綺麗にコンクリートで塗装され、アパートが建てられるようで工事がはじまった。
彼の数か月更新が止まって携帯小説には『残り300日くらい』と書かれたタイトルに変わったにもかかわらず、批判レビューや感想も来なくなっていった。