優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
なんで今まで連絡してこなかったのに、急に?
「お前、うるさいぞ」
「やべ、織田だ」
「津田さん、携帯隠して」
「ばれたらうっせーぞ」
着信を切って、マナーモードにするとセーターのポケットに隠した。
「合格でテンション上がっただけだし!」
「先生、焼き肉おごってーっ」
織田先生の怒鳴り声にも私たちはすっかり慣れて、逆に絡みに向かう。
渡り廊下を皆で走って、先生に怒られながらも職員室へ向かっていた。
「蕾」
足が、止まる。
「蕾ってば」
「……」
渡ろ廊下で彼の声が聞こえて、ゆっくりと横を向く。
すると壁から顔を出す、優大くんの顔が見えた。
……優大くんがいる。
「合格おめでとう、まあ蕾は最初から大丈夫だったけどさあ」
「……?」
よいしょって壁を上って、折りてきた優大くんが私に近づいてくる。
私は信じられなくて、頬を抓った。
けれど、痛い。痛いけど、嘘みたい。
嘘だ。
これは嘘に違いない。
「……なんで?」