優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「……どうして、いるの?」
「えっと、俺さ、市外受験はお前の成績じゃ無理だって言われて転校したから、市外受験してやろうって色々高校探してさ」
「うん」
「すっげえ勉強して、学費免除できるなら、あのサンフラワー花摘から学校に通っていいって親から許可が出て」
「……え?」
必死で走った優大くんの顔から、汗がにじんで落ちていく。
「俺、私立の特進クラスに受かったんだ」
「えええええ」
「250点中226点。いやあ、まじ天才。親父も塾の奴らも驚いてたわ」
「すごい……平均45点ぐらい? すごい……私、自己採点200点ぐらいだったよ」
驚いて優大くんの頬を抓った。
すると彼の顔がとろける。全然痛くないって、嬉しそうに震える声で言う。
「残念、俺の努力は夢じゃねえ。途中、死ぬほど勉強した。大人が否定すること、全部やってやろうって」
「……すごい」
「子供みたいな発想で、やった。四月から俺、ここに戻ってくる」
「……すごい」
「遠距離でも気持ちは変わるつもりはなかったけど、やっぱ近くにいたいし、近くに入れる条件があるなら、あがいてみようかなって」