優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
三、ころころ転がる。
ぽつぽつと見える同じ学校の制服の背中を見ながら、今にも泣きだしたい気持ちになる。
学校に行くのが怖かった。
学校に行ったら、黒板に私の悪口が書かれてたり私の机だけなかったり。昨日まで話しかけてくれていた人たちが遠巻きに私を見るんだ。
きっとそうに違いない。卒業までそんな状況ならいっそのこと学校を休んでしまいたい。
「あら、早いじゃん。朝練ならぬ朝勉でもすんの?」
「紗矢ちゃん」
後ろから現れた紗矢は、いつも通りだ。きっとまだ私の悪口が皆に浸透していないんだ。
「そういえば、昨日は大変だったね。優大があんたに絵を描けって言ってきたでしょ」
「どうしてそれを!?」
は。もしかしてクラスグループに例のやつで既に回ってるのかな。携帯は高校受験が受かるまで駄目って言われてたから、私持ってないけど持ってる子はクラスの半分はいるはず。
「あのね、誤解って言うか私、その」
「大丈夫だって。あいついっつも突拍子もないこと思いついて回り巻き込むんだもん。適当に流しときなよ。それより最悪。私、あと一回検査に引っかかったら推薦取り消すとか脅されたんだから」