優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。

恥ずかしげもなく気障ったらしい彼の言葉は、私の心を簡単にかき混ぜた。


クラスで、彼を中心に回っているような錯覚が起きるほど人気者。
調子がいいし見ていていい加減だなって思うのに、彼のすることはずるとか裏がないせいか許してしまう。


「私の絵なんてダサいですよ。今時じゃない」
「え? 絵に今時とかあんの? こんな、えーっとムンクの叫びだっけ? あの絵が現在進行形で評価されてんのって初めて見た人がいいなって思うからだろ? 流行り関係なくね?」

 そういう意味じゃない。貴方が一位の人の表紙が羨ましいと言っていたじゃない。
 流行りのデジタルの絵を描けないって意味だったんだけど。

「てか陣内くん、意外と絵のこと知ってるんだ」

「もち。描いてもらうのに知らなかったら失礼だろ。てか携帯で書くのむずいな。線がよれよれ曲がる」

私とは正反対の彼が、今、私と並んで共通の絵を描くという部分で触れ合っている。
それがなんだかおかしくて不思議だった。

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