優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


「なあ、携帯で絵描けば?」
「携帯で?」
「そ。写メを読み込んで、ほら、こうすんだ」

 さっきアプリをインストールしたばかりのはずの彼は、もう慣れたのか、絵の中に読み込んだ写真をあげた。
 窓に映る揺蕩うプールの水面だ。

 でもリアルな写真が絵の中に入り込んだ瞬間、なんだか違和感があるすぎて眉をしかめた。
「うーん。絵が写真の技術と差がありあすぎる?」

「それ俺も思った。でも蕾なら絵が上手いからできんじゃん?」
「いや、上手くないよ!」
「またまたあ」


 酔った親父みたいにぐりぐりと肘で横腹を押されて平伏する。
 この人、なんで普通に私と話してるの。

「あっれ。優大じゃん。はや」
「紗矢ちゃん」
「お前こそ、部活は?」

紗矢は陣之内くんの隣の席に座ると、スカートをパタパタさせながら豪快に笑う。

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