優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


「昨日親呼び出しされたんだから今日は自粛しとけって。酷くない? だって爪とピアスだよ?」
「俺の赤いTシャツよりはましじゃん」

「そうだけどー。ってか、アンタあれだけで親呼び出しだったの。本当はもっと何かあったんじゃない?」
「ないし」


二人が盛り上がってきたので、そそくさと自分の席に戻って時計を見上げた。

まだ予冷まで40分以上ある。誰か来てくれないなら今のうちに、時間ギリギリまで美術室に逃げようかな。


「蕾、どこ行くの?」
「あ、デジカメを美術室に返してくる」
「えー、優大と二人きりとかからかわれるじゃん。行かないでー」
「すぐ帰るよ」
「私も行く」
「お前ら酷いな」

陣之内くんは情けない声を出しつつも、視線はすぐに携帯に戻る。
絵を描くのに集中したいのか、紗矢の申し出を止めることもなかった。

「あいつ、本当に面倒くさいやつだね」
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