優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
図書券とトロフィーぐらいの小さな賞なのに、ずっと自慢しているように見えて私はあまり好きではないのだけど、あまり言うのも卑屈なのかなって。
「無言になったね」
「え……?」
「なんか嫌なこと思い出したんでしょ。どうせあんた先生とかに逆らわないから、これ返してもらえなかったんだ」
「……はは。紗矢ちゃんは鋭いよね」
「だめだよ? 大人だから全員が正しいってわけじゃない。あいつらだってただ歳食っただけ。聖人でもねえんだから言いたいことは言っておきなよ」
机に座って紗矢が腕を組む。そんな素振りは、同じ歳なのに大人びて見えた。
私が昨日紗矢に思った感情と逆だった。
黙っていたらきっと服装検査なんて何も言われなかったに、って。
私はあの時、あーあって思ったもの。
それと同じように、紗矢は私になんでもっと自分の意見をぶつけないんだって思っている。