優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
プールの水面は、服で入って男子たちのせいで濁って澱んで見えた。
キラキラと窓に、明日から映らなくなるんじゃないかって不安になってしまう。
それとは反対に紗矢ちゃんの瞼に揺れているキラキラした涙は、私では描き切れないぐらい綺麗な色を反射して光っている。
馬鹿な喧嘩をしていて、紗矢の綺麗な涙を見逃した男子たちはきっと大馬鹿野郎たちだ。
「信じらんねえ! 皆でこいつ叩こうぜ、絶対に許さねえんだからな」
「うっせ。俺にだってどうしようもできねえんだよ!」
「……蕾、いこっか」
「え」
「飛び込もう!」
「ええええ」
紗矢ちゃんに言われて飛び込んだ。スカートが水の中ふわふわと浮くので、中に半ズボンを仕込んでいなかったら、酷い状況になっていたと思う。
水温が低いからって入れなかったプール。
確かに肌を刺すような冷たい水だ。
「うあわあ、気持ちいいね」
「う、うん」
「あんたが入りたい意味、ちょっとだけ分かるわ。気持ちが洗い流されるうううう」