優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
紗矢は確かに綺麗だ。そして真っすぐで芯もあって自信を持っている。
そんな紗矢が折れそうになった時に、支えてくれたのは彼の言葉だった。
不思議とそう思うと、彼のことが怖いと思っていたのに優しい部分を知れて胸が熱くなった。
「あいつ、蕾が逃げたこと、気にしてるよ。私さ、優大見てたから知ってるんだ」
「紗矢?」
「優大、いつも視線の先で追いかけてるよ、蕾を」
すすり泣く声にかわる。
紗矢は私の自慢の友達で、その彼女が今、綺麗な恋をしていた。
誰よりも綺麗で、誰よりも素敵な恋を三年間していた。
それに触れた瞬間、私が紗矢の恋を邪魔している存在だと知った。
少女漫画のヒロインのような、紗矢と陣之内くん。
その間に、まるできらきらと揺れる水面を汚すような邪魔な存在が私だった。
「紗矢、どうした?」
「陣之内くん」
「なんで蕾もお前も、落ちてんだよ」
数人に殴られていた陣之内くんが、紗矢に駆け寄った。
なので私が慌てて、陣之内くんの服の裾を掴んで止めた。