優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「ま、まって、あの」
「ん?」
「スカート、見えちゃってるの」
近づいたら気づかれちゃうかもしれない。
私が慌てたのに、彼は平然と自分の濡れた服を脱ぐ。
すると今日の服も、注意された『タイムイズマネー』を着ていた。
「紗矢―。パンツ見えるよ。俺にサービスかよ」
「ばか!」
じゃれながら、濡れた自分の服を紗矢の腰に巻きながら、プールサイドに押し上げて座らせた。
「馬鹿。バカ、ばか、ばかあ」
「なんだよ、水玉パンツなんか見てねえよ」
「しっかり、見てる。ばかあ、ばかあ」
ポカポカと殴られて、陣之内くんも少し悲しそうだった。
「ばか!」
「俺のテストの点数は、クラスの平均点を下げるためにあるようなひどいものだからな。その言葉、否定はしねえ」
「転校のことだよ。せめて、一緒に卒業しようよ。ありえないじゃん」
うっうっとしゃくりあげる紗矢に、女の子たちが駆け寄った。
クラスの皆も泣いている。喧嘩していた男子たちもだ。
「……しかたねえんだって。誰も理解してくれなかった。俺だって、どうにかしたかったんだよ」
掠れて必死で絞り落とすような声だった。