優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
まっすぐに見つめられると息をするのも苦しい。この人の目は、綺麗でビー玉みたい。水面のたゆたう光のようだ。
「……分からないと思う、ノデいいです」
「なんで距離とんの。あいつらだって悪気があるんじゃねえよ。お前のこと知ればからかったりとか」
「だから、そんなことを考えれるのは、その……陣之内くんが恵まれてるからです」
顔が整っていていればだれとでも仲良くなれるし、皆がちやほやするから卑屈になることはない。転校したって、その顔ならばすぐに仲良くなれるのに、たかが転校ぐらいで――。
そう考えてしまう自分が、一番卑屈で嫌な奴だ。
「紗矢とは普通に話せるじゃん。あ、ちょっとまって背中が冷たい」
ポタポタと水滴が落ちて、彼の背中に大きな丸い染みを作っている。
仕方がないので、パレットを洗ったりする布巾を、倉庫からとってきて彼に貸した。
色が少し残っているから、濡れたら着くかもしれない。それでもいい。