優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


「中二の三学期に描いた絵が期待賞に入ったの。覚えてるかな? 星空コンテストってやつ。何十年に一回しか見れない星に因んで行われたコンテストだったんだけど」
「覚えてます! デジタル部門とアナログ部門があったやつですよね」

 どこかのグラフィック美術専門学校主催で、直接中学に参加しませんかって連絡が来たやつだ。

 ブラシを使って星を描くのは楽しかったのを覚えている。


「それで期待賞10名に貴方と部長が入選していて、これペンタブレットって言うの。使い方は分かる?」
「ペンタブですか?」

「そう。知ってるなら大丈夫そうね。パソコンでデジタルのイラストが描けるようになるの。しかもこれ、なかなか高価なやつよ。良かったわね」

私の両手に乗ったこれは、私のお小遣いやお年玉でもなかなか手が出せなかった値段のものなので知っている。

 欲しかったけど手が出なかったものが目の前に、この重さは夢でもないようだ。

「ちょうどいいから水面をペンタブで描いてみます? パソコンなら使っててないのを美術部の部品として寄付してあげるわ」

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